松戸クリニック  院長 丸山 博 

コンセプト

「医師とご両親がそれぞれの長所を活かして

指導のチームを作り、子どもに当たる」

診療対象:心身障害医療。特にてんかん、脳性小児麻痺、

知的障害や自閉症、小児糖尿病の治療

略歴

東京大学医学部卒業

医師国家試験合格

東京大学大学院終了、医学博士号取得

あゆみ

東京大学医学部小児科学教室入局

東大附属病院小児科に精神外来、糖尿病専門外来開設

1963年(S38年)松戸クリニックを開設(EEG専門)

           小児糖尿病サマーキャンプを開始(日本初)

           東京都立大塚病院医員

1964年(S39年)日本肢体不自由児協会整肢療護園小児科医長就任

つぼみの会発足

1967年(S42年)松戸市心身障害児就学指導委員会委員の委嘱

1968年(S43年)日本肢体不自由児協会整肢療護園退職

           松戸クリニック院長就任

東京女子医科大学小児科非常勤講師

1973年(S48年)「小児のけいれん治療のためのケトン食手引き」出版

1978年(S53年)松戸クリニック分室の開設

1988年(平成元年)医療法人社団わかば会設立、理事長就任

1996年(H 8年)東京女子医科大学小児科非常勤講師退職

2000年(H12年)特定非営利活動法人小児特定疾患療育会を設立 

理事長に就任

2007年(H19年)日本糖尿病学会 「坂口賞」 受賞

松戸市就学指導委員辞任 「松戸市教育功労者表彰」

2008年(H20年)「糖尿病療養指導鈴木万平賞」 受賞

2009年(H21年)「ケトン食の本、奇跡の食事療法」出版

2011年(H23年)日本精神神経学会専門医指導医(H23〜28年)

2012年(H24年)小児糖尿病サマーキャンプ50周年を祝う

日本てんかん協会 「木村太郎記念賞」 受賞


2 0 1 4 年 (H 2 6 年 )  「 保 健 文 化 賞 」 受 賞





自閉症の診断に関する知見とその原因に対する考察、
およびそれによる自閉症の指導に関する一見解

 

現在では自閉症の診断は主として患者の行動に基づく判断によってのみなされている。(ICD-10DSM-V)これは自然科学者としての医学者として,私には承服しがたいことである。

もちろん精神疾患の中には、人文科学的な取り扱いをせざるを得ないものもあることは認めるが、それでも自然科学への回帰への願望を持っているのではないだろうか。

私が考えるのに自閉症の診断という行為が人文科学と化しすぎていると思う。

そこで一度自然科学的観点に立ち戻って考えたいと思った。そこで自閉症者のもつバイオマーカーを探してみた。その結論として、自閉症は身体全体が関係している障害であると思われるものであった。そこからいくつもの推論が可能であろうが、最もよさそうな推論を行ってみることとした。

さらにその推論から、新しい指導法の原理を考えることができた。将来は自然科学的な解明によって、自閉障害そのものの治療法も見出されることになるであろうが、その間、正当な指導は欠かすことができない。急いで行わねばならない医療である。

ICDの改定が近いので、次のような文章(その1部)をICD改定に当たる事務局に提出した。皆様のご批判を受けたいと思う。

 

 現在自閉症と診断するためにICD−10では

1. 相互的な社会関係の質的な障害

2.コミュニケーションにおける質的な障害

3.常同的な行動、関心、活動がある

4.非特異的な問題として、恐怖、睡眠と摂食の障害、癇癪や攻撃性、自発性や概念の操作の欠如が挙げられており、
 DSM-5では

A 

1.    相互の対人的、情緒的関係の欠落

2.    対人的相互反応で非言語コミュニケーション行動を用いることの欠陥

3.    人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥

1. 常同性、同一保持固執、限定された興味、感覚過敏あるいは鈍感

が挙げられている。

 

自閉症は脳の機能障害で(おそらくは器質的な)である。

上記のマーカーは機能障害を持つ個体が構造社会(構造主義的な意味で)に接触しているときに発生するもので、機能障害としては自閉症に限らない。

多くの脳奇形や脳代謝異常症でも当然このようなことが起きる。

したがって自閉症の診断にはもっと確かな、且つ生物学的マーカーが望まれる。

我々は長い間、自閉症の診療に携わってきたが、その中で身体的な特徴があることに気づいた。それらの特徴をバイオマーカーとして採用することが必要であると考えている。列挙すると

1.頭が大きい

機能障害が大きいほど頭が大きい傾向がある。知的障害を伴う自閉症では頭囲が35cmも大きいことが多い。知的障害を伴もなわない、いわゆる高機能自閉症でも2−3cm大きい。

2.脊柱側弯症が見られる

多くは背後から見て、逆S型の側弯で10度程度の側弯が多い。もっと強い  側弯を持つ者もいる。これは身体の結合組織が弱いことをしているものと思う。このために重労働をさせると中年になって、腰痛をおこして、歩行困難になったりする可能性がある。また鼠経ヘルニアの頻度も高い。

3.結合組織の弱さ

ほっそりした体形、細長い指(いわゆるくも指症)などを持ってものが多く、軽いマルファン症候群に似ている。

4.脳波所見

どの年齢でもスパイクなどのてんかん性波形を見る割合が高い。特に15−25才の若年層では高い。しかし脳波の基礎リズムは正常であることが多く、強い知的障害を伴っているのに関わらず、きれいなアルファ波の出現に驚くことが多い。しかし青年期以降では前頭部に徐波の出現がみられるようになる。

てんかん発作は前頭葉てんかんが多く、数秒間の動作の停止という形をとるので気づきにくい。

5.頭部MRI所見

頭が大きいのは、多分脳髄の大きさが大きいのであろうと思い[丸山2] MRI検査をおこなっているが、あまり顕著な特徴は見いだされない。時には脳形成異常が見いだされて、自閉症ではないことがわかることもある。しかしよくよく見ると脳灰白質の面積がやや広く、白質がやや狭いように思える。これは特に幼児の脳において顕著なように思える。さらに年齢が進むと前頭葉の萎縮がみられるようになる。

6.知能検査上の特徴

障害の重い個体では知能検査そのものが不可能である。分析的発達検査を行ってみると言語と社会性に強い遅れがあることがわかる。しかしながらこのようなことは、特に自閉症特有のことではない。中程度知的障害以上の知能の知能検査では特徴が見られることがわかっている。WISC-W検査を行なってみるとVCIPRIが高く、WMIPSIが低いことがわかる。知能指数自体は年齢とともに上昇する傾向があり、しばしばFIQ=130に達することもある。

 

以上の所見をバイオマーカーとしてそれを総合することで本当の自閉症と思われる者を選び出すことができるのではないか思う。現在の診断基準では個人が自分を分析して自閉症と決めてしまうことも可能であるし、逆に医師のほうから脳形成異常、代謝性疾患、脳、変性疾患やあるいは変わり者を自閉症と診断してしまうことが大いにありうる。

我々が自閉症の実態を捉えるとき、2つの側面を考慮する。一つは自閉障害という高次脳機能障害を持つ者が、構造社会の中に入ってゆくとき、ミスマッチが起こり、一つはこのミスマッチが自閉症児を教育しようとする過程でトラブルを起こし、(いったいどういう方法で自閉症児を教育しようとしているのか)人は構造社会について思いを馳せることなしに行動すればトラブルは増加するであろう。現在、自閉症者が増加している原因は構造社会の急速な変化にある。昔は地域社会で特にトラブルなしに生活していた自閉症者が現代社会の厳しい規範に触れて目に付くようになったためであると考えている。

 

自閉症の原因に関する推論

自閉症の原因を考えると、頭囲が大きかったり、MRIで灰白質の量が多いようであることから、自閉症者は過大な神経細胞を抱え込んでいるように思える。このことから考え付くのは、乳幼児期の脳細胞はどんどん分裂して,数を増やし

一方増えすぎた脳細胞を処理することがうまくゆかないのではないかと思われる。不要な脳細胞を処理する過程はおそらく能動的アポトーシス(active apoptosis)に依るものであろう。

能動的アポトーシスの知られている例としては胎児期の指の形成や四肢の骨格の維持機能に見ることができるが、生物ではごく普遍的な現象である。こうしてみると自閉症者の脊柱側弯にも関係しているのではないかとも思われる。普通の児童では能動的アポトーシスによって脳の機能は飛躍的に高まる。この時期は特に出生直後から34歳にかけてが、それにあたると思われる。

 

これまで脳神経は静的な働きであるかのような誤解を持っていたのではないか、たとえば電子メモリーのように思われていたのではないか、そうではなくて、神経細胞は信号に接すると、極端な言い方をすると振動し、シナプスも変化し、あるいは消滅し、時には神経細胞も消滅したり、芽を吹いたりするのではないか。外部からの信号は例えば絵や文字などの信号はすぐに視覚領に達し、その周囲の多くの神経細胞を広く励起する。広がりが大きいほど信号の意味が明確になってゆく。やがてそれは収れんしてゆく。繰り返すことにより信号の性質はより精緻なものとなってゆくというように考えられないであろうか。

自閉症児の場合には神経機構の整理と新生の機構がうまく働かないために、この機構がうまく働かず、学習ができないのではないか。例えて言えば、自閉症児の脳は巨大なジャングルに似ている。学習するにはわかりやすいように繰り返しおしえるのがよいのであろう。子どもが自分からジャングルから出てくるのは難しいので、こちらから子供のところまで行って手を引いてつれだすようなやり方がよいのではないか。学習を促進するには強化子を用いる行動療法(オペラント学習法)が適しているように思える。

神経組織の混乱は脳の部位によって異なるようである。自閉症児からの印象では、単純な光や音に対する反応は良好で、ものの形の判断はやや難しく、ことばの理解は難しい。言葉にはいくつかの意味があることを理解するのはさらに難しい。ジャングルの中にいるようだと表現したが、それは同時に不安と寂しさをもたらすようである。常に人がいて安心を与えないと不安を生じ、人の気を引こうとして、人を困らせる行動に出る。もっとも人の関心を引くのは自傷である。自傷は無視しようとするとエスカレートする傾向があり、ひどい怪我をしたり失明したりすることになる。

つききりで学習するような濃密な対人関係がある状態から,自習のような薄い関係に移ると、激しい混乱が起き対応が困難になることがある。このような場合に構造化のようなオペラント刺激(時間と場所)を自動的に与える方法などは有効である。

 幼いころから適切な扱いをして育てれば、そしてそれが可能な環境があれば自閉症対策はもっと楽なものになるであろうが、現在では困難かもしれない。


 

自閉スペクトラム症、てんかん及びダウン症候群の子供たちの障害の実態と取扱い方への考察    

 

      

これからお話しすることは私が私なりに考え、実行していることで、一般的な理解とは少し異なる点があります。ですからこの話はほかの先生方の話とは違うかもしれません。でも私は今の時点でこう理解するのが一番良いのではないかと思っています。

 

自閉症とアスペルガー症候群 

自閉症スペクトラム障害はDSM-5(アメリカ精神神経学会編−精神疾患の診断と統計のための手引き-5)で用いられるようになりましたが、自閉症スペクトラムというはこれまで用いられてきたのですが、障害の名を付けたのはこれが初めてです。まだICD11(国際疾患分類-11)に取り上げられるかどうかはわかりません。

自閉症とアスペルガー症候群は一見全く別物のようですが、確かに似た面があります。重い自閉症は強い知能障害を持ちます。一方私の見ているアスペルガー症候群の子は半数以上に知能指数が120程度の一見高い知能があります。しかし両者とも対人関係の面で問題を持っています。もう一つの特徴は年齢が進むにつれて次第に知能が上がってくることです。身体的にも多少の共通性があり特にこの性質はアスペルガー症候群に顕著に見られますが、背丈が高く、指が長く、脊柱の屈曲がみられます。近年になってわかってきたことは、自閉症児は頭が大きいことです。生後6か月くらいから4歳くらいにかけて頭囲が平均より2.5cmほど大きくなります。

頭部MRI検査で調べてみると大脳の灰白質の部分がふえていることが分かります。つまり神経細胞(ニューロン)とその付属物が増えているのです。がんのようなものが増えているのではなく、実際に働くことができる細胞が多いのです。

通常人間の脳は脳細胞がどんどん分裂して頭が大きくなってゆきます。一部のニューロンは細胞同士のつながりができて、特に体の運動神経は胎児のうちから発達して,胎内で手や足を動かします。しかしほかのニューロンはまだ少ししかつながりができないか(見る神経や聞こえの神経)、全くつながりがない(ほかの多くの神経)状態でどんどん発達が進みます。神経の働きができるのは、一つはニューロンが体の一部を伸ばしてほかの神経に接触する(シナップス形成)のと神経線維の髄鞘化によります。外界からの刺激が入り神経が活性化すると神経電位が起きてほかのニューロンに向けて電位が移動してゆきます。こうしてニューロンからいくつかの刺激をもらったニューロンはそのまま生き残ってゆきますが、刺激があまり届かなかったニューロンはアポトーシスを起こして消滅します。学習を積み重ねることによって過剰に作られた神経組織が削られて人の脳になってゆきます。ちょうど木彫りの人形のような感じです。

自閉症の脳が大きいのはこのように削られてゆくべき神経組織がいつまでも残っているからですが、それが思考組織を強固に作ってゆくのを妨げていると思います。たとえていえば、道がたくさん作られるのは良いのですが、車一台しか通れない道が沢山できると車の渋滞がおこるのに似ています。幹線道路ができて、それが枝分かれして、次第に細い道路へと分岐してゆくのが一番能率的です。それが普通の人の脳神経です。

骨や靭帯などの組織にも似たような不具合があって、やや弱いのではないかと思いますが、このような支持組織の弱さの原因はわかりません。

通常の知的障害とちがって神経回路は混乱しているとはいっても沢山ありますので、これを上手に利用することはできそうです。たとえば細い道路の入口に「一方通行入口」とか「一方通行出口」とか書いておいて、皆に守らせればよいのです。こうしたやり方の一つに構造化という療育の手法(TEACCH法)があります。このような工夫はさらにいろいろと考えることができます。

神経組織の混乱は脳機能の種類によって異なります。たとえば明るさや色彩あるいは音の強弱や音程は混乱しにくく、わかりやすい刺激で、これらの学習は割合容易です。しかし、ある音をとらえ、それを声としてとらえ、その音のつながりを分節し、言葉として理解し、意味をつけ、音を発した人の意図を知るという作業は複雑な難しい作業となります。

このような難しい言葉つくりでも、標識をつけたり、ガイドに案内してもらえばかなりのことができます。

たとえば、カードにリンゴの絵を描いておいて数秒間見せて、何回か繰り返しリンゴという、またいっしょに言わせる。さらにりんごの一片を食べさせる。これは良い行動療法です。

逆に罰統制(叱りながら教える、小言を言う)は進入禁止の札をいたるところに立てるのと同じでどうしてよいのかわからなくする手法です。このような事態にさらされると、子供はいろいろの行動をとるのですが、周囲の人がその理由がわからないでいると、こどもは相手に対し激しい行動‐多くは自傷‐をとります。それによって罰を緩めるとそれが報酬となって自傷が強くなってゆきます。これが悪い行動療法です。

自閉症の子供は沢山の神経の道を持っているので、丹念に教えるとかなりの年齢でも、学習の効果が次第に出てきて、学校を卒業するまで会話ができなかった青年がその後ある程度の会話ができるようになったりします。

アスペルガー症候群の子供たちで私が見ているのは幼稚園児くらいでは知能指数が100前後ですが、小学校高学年になると120くらいまで上がります。アスペルガー症候群の人は、知能検査の問題を解くのは上手ですが、知性というのはそれだけではありません。話を聞きながら、その話に納得したり、なぜそういうのかを思い巡らしたり、自分の主張の正しさを検討したりすることも、必要ですが、その機能がうまく作動しないために対人関係に失敗することが多くなります。そのような障害もうまく乗り越えられるとよいのですが、学習(例えばSST)には限界があります。

障害克服の学習は必要ですが、全く正常な人を目指すことはできません。 障害はあってもよいから、周囲の人が自閉症に歩み寄ってやることも大切です。また、アスペルガー症候群の人が就職するときには。マッチングをよく考えるということも大切です。

自閉症者は特有のてんかんを起こし易いのも一つの特性です。ある人は自閉症者は成人になるまでに80%にてんかん性脳波がみられるといいます。これはこの後てんかんのところで述べますが、一口に言えば前頭葉の廃用性萎縮によるものです。したがって、自閉症の子供は適切な学習を行って廃用性萎縮が起こらないようにしたいものです。てんかんは特に青年期になって発病するものが多いのが特徴です。

自閉症のてんかんは比較的に少量の抗てんかん薬の使用で治療できるものです。しかし脳波にてんかん波があったからと言って、それですぐに治療に移るわけではありません。治療開始の時期を判断するのは専門医の高度の知識を必要とします。


次に自閉症児によくみられる行動異常について述べます。その子の性格にもよるので一概には云えませんが、普通に育った自閉症児はぼんやりしていますが乱暴をする子はいません。異常行動は作られたものといってよいでしょう。親や指導者が自閉症児の障害について知らぬまま、子供に接触するために子供の頭の中に混乱が生まれ、適応行動としての行動異常が生まれます。

自閉症者は記憶がとてもよいため、過去の危機回避行動を繰り返します。その行動が合理的であるか、非合理であるかを知性によって選択することが困難ですから、多くの行動は周囲からは危険な行動としてとらえられます。矯正的指導は概して行動の悪化を招きます。これが強迫行動(こだわり行動)となると、もはやそれを改善してゆくことはとても難しいことになります。

そこで、児童精神科を訪れることになるのですが、このような事態を治す薬はありません。このようなときによく使われる薬は向精神薬です。向精神薬は神経伝達物質による信号の伝達を弱め、それによって興奮して自制できなくなることを防ぐものです。つまりかっとなって自制を失うのを防ぐことができます。しかし意図的にいたずらをしたり、人をたたいたりすることを防ぐことはできません。しかし、他に何もできないのでは困るので、このような薬を使います。多少穏やかになるくらいの効果はあります。

薬の使い方は難しく、たとえば興奮して乱暴する子に抗不安剤を処方するとかえって乱暴がひどくなることがあります。脱抑制といって、乱暴しそうになって躊躇するような場合、不安を除くことによって、どんどん乱暴してしまうというわけです。向精神薬でもこのような現象を起こすことがありますから、私たちは薬剤の種類と用量には気をつかいます。

 行動異常の中でも、最も深刻なのが自傷による失明です。頭や頬をたたくことが多いのですが、時に目にもあたり、外傷性白内障さらには眼球ろうを起こして全失明になります。この予防には仕方がないので、手が目に当たらないように工夫された頭部保護帽をかぶせておくことになります。

 

 この章の半ばで触れた支持組織の脆弱性について再び述べます。自閉症やアスペルガー症候群の人たちは靭帯や筋肉に多少弱さがあるらしく、無理をすると、故障を起こすことがあります。若いうちは気づきませんが、壮年から年齢が進むと、重労働を続けると多いのが腰痛症です。私が知る限りでは次いで鼠径ヘルニアです。多分そのほかにもあるのでしょうがわかりません。

 

てんかん

てんかんは誰もが知っているようで、なかなか分かりにくいものです。倒れて大きく突っ張っていれば、てんかんと思うでしょうが、てんかんでないものも多いのです。逆に吐きけしがしたり、おなかが痛くなったり、急にわけのわからない行動をしたりするのはなかなかてんかんとは気づきません。てんかんの特徴は多くは理由もないのに突然起こる現象です。

てんかんの診断には脳波検査が行われますが、てんかんでないのにてんかん脳波がみられたり、てんかんなのにてんかん脳波がないこともあります。しかし、てんかんとてんかん脳波には深い関係があります。人間はみなてんかん発作を起こす性質を持っています。電気ショックをかけたり、けいれんを誘発する薬を注射すると、全身けいれんすら起こすことができます。ではなぜてんかん発作が起こったり、同じようにしていても起らなかったりするのかはまだ十分にわかっていません。

 てんかんを治療する必要がある場合その理由、すべてのてんかんに治療が必要なわけではありません。治療が必要なのは、発作によって死んだり、大けがをしたりすること。ついで発作が起きたり、繰り返したりすると脳が壊れて知的障害や身体障害を起こすこと、体の具合が悪くなる、学習の妨げになる、仕事場などでのハンデイキャップになる、一つの発作が次の発作の原因になる、病気を持っていると一段低くみられるなどです。

治療の必要性の有無を考え、治療が必要ならそのひとのてんかん発作に対して、最適の治療をめざすのですが、その治療の大部分は薬物内服療法です。注射療法や座薬療法もあり、食事療法、さらには外科的療法もあります。これらの判断や実施はすぐれたてんかん医によるもので、その実行は医師と本人との協力です。てんかんの薬物療法はとても厳格なもので、その効き目は採血して、薬剤の血中濃度を測定しながら判定してゆきます。1日の量、飲む時間、食事との関係もきちんとしなければなりません。飲み忘れなどはもってのほかです。

 もし、薬を飲み忘れて発作を起こしたとすると、もう以前の薬をまた飲めばよいというわけにはゆきません。服薬量を増やす必要が生じます。これはてんかんの燃え上がり効果によるものです。また最近では発作を起こすと、発作の種類によってはその後2年間は自動車を運転することができなくなります。

 私たちの扱う子供のてんかんの大部分は良性のもので、成長に伴って消えてゆきます。たとえば、単純性熱性けいれんや小児の良性部分てんかん、(ローランド回てんかん)などがこれに当たります。このような良性のてんかんで治療を受けている人は多分ここには来ていないでしょう。

 てんかん治療で問題になるのは難治てんかんでしょう。大きく分けて2種類あります。そのひとつは症候性てんかんと言って元々脳にいろいろな障害を持っているものです。たとえば、結節性硬化症などのいわゆる神経皮膚症候群といわれているもの、滑脳症などの脳の形成異常、周生期に起こる病気による脳性まひ、脳出血、脳梗塞、脳外傷、脳炎などによる脳神経の破壊、などはもともと知的障害や身体障害を持っているうえにさらに難治なてんかんを持つことが多いものです。またもう一つはもともと難治なてんかんで知られている症候群があります。代表的なものはウエスト症候群、ドラべ症候群及びレンノクス・ガストー症候群です。これらは一括して年齢依存性てんかん性脳障害とよばれています。

 最近はこれら難治なてんかんに有効な抗てんかん薬と称するものが開発されていますが、それなりに効果はあるのですが、発作をなくすところまでには至っておりません。

 もう一つのてんかんの原因は脳の廃用性萎縮によるてんかんです。たとえば全盲児は脳の視覚領を使うことはできませんから、どうしても後頭葉視覚領の萎縮が起こります。そのため全盲者のほとんどに後頭葉てんかんを生じます。

脳波検査をすると後頭部にてんかん波が出るので分かりますが、発作自体は外から見てわかりませんので、気が付かないことが多いものです。このような廃用性萎縮によるてんかんは自閉症によくみられます。そのほかの障害でもこのようなことは起こり得るので、ほかにもたくさんあるものと思います。

 難治なてんかんの場合、うまく抗てんかん薬の使用に発作が止まるとよいのですが、止まらない場合もあります。そのときには、てんかん発作による害や日常生活上の不自由と抗てんかん薬による眠気やふらつきなどの有害作用とのバランスをとりながら治療してゆくことになります。これはほかの障害とも同様なことで、すべてのてんかんが治療で止まり、障害がなくなるというわけではありません。てんかん発作とともにくらすというかたちになります。

発作による怪我がないようにしながら、学習し、運動し、できれば会社に勤務したり、作業所に通ったりします。

 食事療法、主としてケトン食療法のことを指します。昭和42年私がケトン食の手引きを出版して、可能なようにしたのですがあまり使われませんでした。しかし病院などでは細々と行われていました。最近また機運があがってきたので新しく「ケトン食・奇跡の食事療法」を共同執筆で出版しました。

 

ダウン症候群

皆さんよくご存じのように染色体異常症‐トリソミー21によるものです。なぜ症状が出るのか、いろいろの説があります。生まれてすぐには、先天性の心臓疾患、十二指腸閉鎖、鎖肛などのチェックと必要な治療、哺乳の問題、2−3才では歩行や言語機能の評価、3−4歳では頸骨脱臼の検診、6−7才では足関節特に扁平足の有無、青年期には甲状腺機能、高尿酸血症の有無を知るための血液検査、成人になってからは時には血液検査を行って白血病の発生がないかどうかをチェックするなどです。ダウン症候群の人の指導法も、自閉症とは全く成り立ちは違いますが、同じと思っていてよいでしょう。









 2015.1

        私の歩んだ年月             丸山 博

 
7回目の年男にあたり文を書くことを要請されて、先日地元の若手医師の会で私の仕事についてお話したことをそのまま書くことにいたしました。

 私は理想とか、目標を持って人生を歩んだわけではありません。単に目の前のことを解いてゆくという人生をおくってきました。

 私は1931年生まれで5歳の時に2.26事件があり、日中戦争が始まり召集兵が中国に送られるようになりました。母は私にお前は体が弱いので兵隊にとられたら死んでしまうから医者になれと言って聞かせたのは5〜6歳のころだったと思います。
 そのつもりですすみ56年に東大医学部を卒業し、インターンの終わるころ、2人の同級生が小児科に入ると言うので私も小児科に入りました。入ってみるとその2人は基礎の教室に入っていました。59年研究班を決めるにあたり、3年上だった長畑正道先生に勧められて、精神外来を始めたのですが、当初は夜尿外来という名をつけました。

 60年頃には東大小児科には日本全国から小児神経の患者が集まるようになりました。特にてんかんの患者が多かったのです。当時の東大病院の中央検査室には全科共用の2台の脳波計しかありませんでした。小児科においた1台の脳波計と合わせてもとても検査が足りませんでした。神経班チーフの福山幸雄先生の発案でサテライト脳波検査室を作ることになり中検脳波室読影係りだった私が松戸にある私の週末住宅を提供することになりました。松戸クリニックの名称は福山先生の発案でした。62年に結婚していた妻の和子(同じ教室の医師)を診療所長として開業したのが63年4月でした。医員としては、福山幸雄、長畑正道、有馬正高、岡田良甫、鈴木昌樹、小宮和彦、鴨下重彦、鈴木義之、瀬川昌也の諸氏が交代で夕方に来院して脳波読影を行いました。65年には東大小児科に1台の脳波計を寄付し東大総長から感謝状を頂きました。さらに67年には脳波計を2台にしました。

 順調に行っている様に思えたのですが、68年突然医局長命令で松戸クリニックは東大小児科からきりはなされてしまいました。 当時私は日本肢体不自由児協会重症心身障害者施設むらさき愛育園副園長兼整肢療護園小児科医長をしておりましたが、退職し松戸クリニック院長となりました。同時にその年に東京女子医大福山教授に呼ばれて小児科非常勤講師となりました。脳波検査の需要は非常に大きく、80年頃には脳波計は5台で稼働しておりました。1日に多い時には30人程度検査したこともあります。

1970年ごろ英国のEMI社でX線CTが発明、製作されるようになり、脳の構造検査が簡単にできるようになりました。それまでは患者に苦痛を与える気脳X線撮影が行われておりました。73年エリザベス女王が来日され日本に50台のX線CT装置を売り込んだのは有名な出来事でした。 74年にマルセイユのアンリー・ガストーはCTを用いててんかん患者の10%に脳腫瘍が見られるという論文を発表しました。見逃したら大変だと思いました。

 日本国産CT装置が作られたのは76年のことで、松戸クリニックは早速その2号機(頭頸部用)を購入いたしました。その後の検査で松戸クリニックの患者では脳腫瘍発見率は0.2%でした。この率はその後も変わっていません。しかしCT装置は便利な機械で、裂脳症,厚脳症,脳回形成異常、水頭症、結節性硬化症の結節などが見出されました。CT装置はその後、全身用に代え現在4代目になっています。CT装置には放射線被曝の欠点があります。あまり使わないようにしていますが、胸や腹の検査にはとても有用です。

 その後MRI装置の改良が進み、解像度はCTを超えました。そこで1993年超電導1.5テスラの東芝製MRIを購入しました。これはとても大きい機械で、新しい建物の建築を必要としました。現在2代目ですが液体ヘリウムの使用量がとても減りました。
 脳波、CT,MRIなどは外部の先生方からの検査依頼に応じています。お役に立てば嬉しいと思っています。


   松戸クリニック分室について

 自閉症の長男とその頃増えつつあった自閉症(ずいぶん誤解に基づく自閉症もありましたが)の患児の療育のために1978年松戸クリニック分室を開設しました。

 指導者としては著名な行動療法家の故梅津耕作氏を迎え、臨床心理士数名と治療を開始しました。保健所に届け出たところ、分室は別の医療機関として届け出るように指示されました。あまり意外なので当時参議院議員をされていた友納武人先生に斡旋をお願いしたのですが、1医療機関にはなりませんでした。そこで、妻の和子を松戸クリニック分室長と言うことで機能するようにしました。

 分室の特徴はすべての療育場面を監視カメラを通してオープンにし、後にはDVDに記録してもらって家で勉強してもらうようにしたことです。あまり宣伝しないので知らない人が多いのですが、日本の自閉症指導の早期からこのようなシステムを使ったのは画期的なことでした。これは妻の発案、指導によるものです。


      ケトン食の手引きの作成について

 ケトン食はてんかん治療の食事です。最近はGlut‐1欠損症や脳腫瘍の治療としても注目を浴びています。

 1921年ごろからおこなわれるようになったとのことですが、抗てんかん薬との競争に負けがちで時々流行的に行われるのですが、すぐに廃れてしまうことを繰り返していました。でも難治なてんかんにはよく効くので試してみたいと思っていたのですが、日本語の本がなくて、したがって日本食では作りにくくて困っていました。

 幸い佐野倫子栄養士にめぐり会い、73年に本を作りました。『てんかん治療のためのケトン食の手引き』(第一出版)です。この本は和光堂からケトミールというケトン食用粉乳が出てから77年に第2版をつくり再版しました。
 今では明治乳業からケトンフォーミュラと言う名前で製造されています。これもやがてあまり使われなくなり本も絶版になっていたのですが、03年中蔦弘行氏が子息のウェスト症候群治療がうまくいかず悩んでいたところ私のケトン食の手引きに出会い、地元の栄養士さんの協力で実行したところ発作が止まりました。

 これが機運で再度本を作ろうと言うことになり、松戸クリニック、静岡てんかんセンターおよび中蔦氏、岡崎栄養士の協力によって『ケトン食の本−奇跡の食事療法』ができました。今年の日本てんかん学会ではケトン食療法のセッションが組まれ、コソフ氏がこの本の紹介をしてくれました。大げさな題名ですがこれは以前NHKで放映されたケトン食でてんかんがよくなった少年チャーリー君の番組の名前を貰いました。



   アスペルガー外来について

 13年頃段々アスペルガー症候群の患者さんが増えてきて、診療の合間に相談に乗ってやるのが困難になってきました。多くの方がIQ=120前後と言う高い知能を持ちながら、対人関係の困難を抱えて困っているのをみて気の毒に思い臨床心理士の協力の下でアスペルガー外来を作りました。まだあまり充実しておりませんが、だんだん役に立つものにしてゆきたいと思います。



   小児糖尿病について

 1959年まだ新人で病室担当をしていたときに小児糖尿病患者のi子さんの担当になりました。まだ在宅医療のない頃で、自己注射など認められていませんので、数カ月の入院で退院すると数日で救急車で病院に戻って来ると言う有様でした。そこで60年に小児糖尿病外来をつくり、在宅医療を始めました。インスリン、注射器(ブルーシリンジ)、注射針、消毒用アルコール、尿検査用ベネジクト試薬などを供給しました。糖尿を指標にして糖尿病コントロールするために日曜日に来院させ、医局に布団を敷いて寝かせ24時間血糖、尿糖検査を行いました。

 聞き伝えた糖尿病患者が集まり、62年には症例が17件になり学会発表をしましたがそんなに症例があるのかと驚かれました。その年にニューヨーク糖尿病協会の指導医フィッシャー氏とカントロー氏が病院を訪れサマーキャンプの実行を勧められ、教授の反対を押し切って63年に日本での第1回小児糖尿病サマーキャンプを千葉県内房総勝山で行いました。患者8名、医師2名(丸山と土橋)、実験助手1名、女子栄養大学の教授と学生5名、患者の母2名、弟1名でした。食事はこのときから糖尿病食のための自炊を通しているのが、このキャンプの自慢です。 糖尿病教育は主に注射、尿検査と糖尿病食と運動でした。 

 キャンプの後、子供たちは家族と旅行することが出来るようになったのが成果でした。第2回につぼみの会キャンプと名前がつき、糖尿病の子供を守る会も誕生しました。会長は石原喜芳氏、第3回からキャンプ現地での家族講習会を行うことになり、同級生の内科医三木英司氏にその立案や実行をお願いしました。キャンプはその後、主として清里キープ協会の施設を借りて行っていましたが、81年からは福島県伊達市に専用キャンプ場を建設して行っていました。2011年に東日本大震災と原発事故があり、使えなくなり、御殿場の施設を借りてキャンプを行っています。

 このキャンプ事業に対し昨年つぼみの会の推薦で第一生命から保健文化賞を頂き、両陛下に拝謁していただく栄誉を受けました。多くの人々の仕事ですのに私が栄誉を受けるのは心苦しい感じです。でも子供たちの声を両陛下にお伝えすることは出来ました。



             





                        
    
 自閉症圏障害と構造社会・言語学      丸山博 (2013/8/22)

 構造社会学と構造言語学はひとつのものです。頭の外にあれば構造社会学で、それが頭の中にあればそれは構造言語学です。昔のように親が配偶者を選ぶのが普通であったときにはそれが社会構造で、それを外れた人はその社会の普通の一員とは認められなかったのです。言葉としてあれは外れものだというのが構造言語の表れのひとつです。それに似たようなことは現在でもたくさんあるのですが、身についてしまっていて、気がつかずに過ぎていることが多いものです。

人間のことばは新生児の白紙の状態から次第に集積されて構造化されてその社会の言語になってゆきます。構造化された言語はその人の属するすでにある集団の構造に規制されます。つまり子供はだんだん成長発達して、ある集団の一員になってゆくのです。

これで分かるように、ことばはすでに出来上がっている社会に合わせて作られてゆきます。これが構造言語学の主な課題になっています。

社会構造は時代とともに変化してゆきます。この変化は大多数の人の意識に沿って次第に行われてゆきますが、近年は福祉関係者たちの呼びかけにも関わらず寛容性に乏しくなる傾向にあり、自閉症者の(ばかりではありませんが)社会の中での生活を困難にしてゆきます。しかし個個人が社会構造を変えることはまず不可能です。

さて、ことばが人の頭の中で形をとり、進化してゆくには、言葉を扱う能力とそれを生かせるシステムが必要です。

単なる音韻から意味を抽出してことばにするのは1歳すこし前からですがそれが集積してゆく期間があり、3歳前後になると急速にそれが構造社会と関連して発達します。この速度の速いことは驚くべきものがあり、Pinkerのいうように一種の本能とすら思えます。

外国語を勉強するのは別の集団の社会構造を学ぶことですし、国語を勉強するのは自分の住んでいる集団の社会構造を学ぶことです。

通常の人の場合、基幹言語(日本語)を学ぶのは本能的なものですばやいですが、第二言語(英語)を学ぶときには、すでに本能の部分を失っているので、少しづつ学ぶしかありません。それもゆっくりと。

自閉症の幼児は、基幹言語を本能的に覚えてゆくことができないので、常に第二外国語を覚えるように、しかも言語構造が出来ないままに学ぶしかありません。

自閉症児ではこのように脳の中の構造が違っているということですので、これを直すことは現在の段階ではできないでしょう。

でも、もしも自閉症の頭の構造の異常がなにか特別な原因によるものでしたらそれを取り除くことで直すことができるかもしれません。でも自閉症児の脳は生まれたときから組織学的な異常が見られるということですので直すことはとてもできないようにも思えます。

そこで私たちができることはいろいろな方法を使って基幹言語を教えてゆくことですが、言葉の数をどんどん増やしたり、言葉の意味を障害のない人のように構造化したりすることは出来ません。でも少しでも構造らしきものに接近することは可能でしょう。それでも住んでいる社会に完全に適合できないところは、周囲の人に理解してもらって安穏に生活してゆくことだと思います。

もちろん、一般の子のように、言葉の持つ、複雑な内容、相手へのメッセージとしての言葉、相手に与える印象などの要素を教えることは困難と思います。

ですが言葉を単一の意味でもそれを教えることも大切なことで、それによって自分の意思や相手の言っていることを単一的にとらえ反応するのに役立ちます。でももっと複雑な意味を理解させることはとても困難です。

私たちは構造社会の中に暮らしていて、構造や言語は、お互いに了解できたものと思い込みがちです。そのような思い込みを自閉症のひとにも要求してはいないでしょうか?

言葉かけをしたときには相手にどのように伝わっているのかを吟味しなければなりませんし、自閉症者に言った言葉にはどのような意味があるのかを、きちんと確かめておく必要があります。

人が障害のある人に だめと言うと暴れだすことがありますが、それは障害者がそのことばを攻撃として理解しているためではないでしょうか。



   
  自閉症とてんかんについて      丸山博 (2013/8/22) 

自閉症圏障害のすべてに当てはまりますが、自閉症にはてんかんの合併が多いものです。

ここでは最も多いタイプの自閉症に伴うてんかんについて書きます。

自閉症のお子さんは2−3歳のころから脳波にてんかん性の波形を見ることが多いものです。そして全身の痙攣を伴うこともよく見られます。これは自閉症の子供の脳が大きいことに関係があるのではないかと思っています。

障害のない乳児の痙攣発作で多いのはいわゆる熱性けいれんですが、年齢や発作の形や家族性などで自閉症の乳児と違いがわずかにあります。

子供は5−6歳前後にローランド回スパイクというてんかん性波形が見られやすく、数パーセントの割合で見られますが、通常は発作を伴わず、治療の必要はありません。

自閉症のお子さんではこれに類した、スパイク波がこの数倍みられ、出現場所もローランド回だけでなく、ほかの場所にも見られます。

この場合もけいれんなどの発作が見られたり、それによってぼんやりしていたり、知恵の伸びが止まってしまうときには治療が必要ですが、脳波上のてんかんだけで治療する必要はありません。

これらの小児期のてんかんは年齢が進むと自然に収まる傾向があります。

しかし次に述べるような理由で長引くことがあります。

青年期や成人期になると、自閉症の人はしばしばてんかん発作を起こしてくることがありそれも大変頻度が高いのです。

結論から言うと。それは二次的つまり作られたてんかんである可能性が強いのです。

 自閉症の人は脳の構造は複雑でうまく使いことができれば、すばらしい仕事ができるのではないかと思いますが、通常はその脳をうまく使うことができないーその一部は言葉の障害のためと思われますがーそのために脳の廃用性萎縮が起きます。廃用性萎縮はてんかん焦点を作ります。

 このために自閉症の人は青年期になると、てんかんを発生することが多いのです。80%の発生率という人もいます。

小児期のてんかんと違い自然に収まる傾向はありません。

青年期に起こるてんかんは通常前頭葉てんかんです。その発作は複雑部分発作といって、突然意識を失い、動作がとまる発作です。なかなか気づかれないことが多いです。しかし心配して顔ばかり見ているのはやめましょう。見られるほうはたまりません。チックを起こしてしまいます。そういうこともあると知っていれば、必ず分かるものです。この発作が強く出ると全身けいれんになります。このとき顔や目を右や左に回旋させることが多いものです。てんかん焦点と反対のほうを向きます。

 治療は少量の抗てんかん薬が有効です。時にはそれよりも少し多い通常の薬用量が必要な場合もあります。

 治療よりも大切なのは予防です。青年期のてんかんは脳の廃用性萎縮によるものですから、上手に脳を使うことが大切です。

でも脳をうまく使えないのが自閉症です。どうしたらうまく使わせることができるでしょうか。

軽いスポーツがよいようです。しかしいろいろなルールを持つスポーツや連携プレーが必要なものも自閉症の人には向かないようです。

スポーツをさせるにはスポーツが好きでなければなりませんし、好きにするにはそれなりの工夫が必要です。またスポーツによって感情がたかまるー勝ってうれしいとか負けて悔しいことも脳の働きをたかめます。

 筆者のクリニックでは青年期の自閉症者のてんかん罹患率はとても低いです。

それはこのような予防法を意識して生活してもらっているためと思います。







    発達障害(自閉症)



  発達障害において、自閉症のは一定の割合で発症していて、その数は増えていませんが、擬似発達障害など2次的な発達障害が増加しているとのことです。物が有り余る現在は人とコミュニケーションをとらずに欲しい物がいとも簡単に手に入り、社会との関わりを持たずに生活ができてしまう希薄な人間環境です。特に子ども達はコンピュータゲームやマンガなど一人で遊べるものが多く、また複数の友達といても一見集団行動の体ですが、実は個々にプレイしていることが大半です。ゲームの保存やリセットなどの行為が機械的に体へ刷り込まれ易く、一部の親御さんたちはこども達の顔を見ずに、ネットや携帯ばかりやっている人も少なくないようで(養育放棄)、スキンシップを通した幼少期の心身教育がなおざりになり、こども達の成長に変化が生じ易い環境になっています。
体を動かさない、頭を使わない、特に前頭葉への刺激が偏っているため、コミュニケーション能力は低く、モチベーションもないために、学校生活(教育)において、多くが不適応の結果に陥っています。
経済不況のなかサービス業が中心となり、コミュニケーション能力の低い人たちが社会不適応者になりやすく、ひきこもる人が増えていると報告があり、これからも増加傾向ですが、こどもたちが家庭や学校で色々な体験を積む過程で、コミュニケーション能力が自然と身に付くよう、いじめや落ちこぼれのないよう教師や親が子どもたちを見守れるような社会基盤ができていればいいのですが、過保護や養育放棄、高学歴教育などが先にたち、他人を思いやる心のゆとりがないといった問題の方向修正できるように考えています。




                      
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   非常勤医師紹介
 



  
 土屋医師 第3水曜日   小児科一般、こどもの神経
 中山(智)医師  火曜日午前、第1,3土曜日午前  小児科一般、こどもの神経
 中山(尚)医師  月曜日一日  小児科一般、こどもの神経
 久場川伸医師  第1,2水曜日5(AM)  小児科一般、こどもの神経
 星 野 医師 第 2,4土曜日(午後) 小児科一般、こどもの神経



 土屋医師 (
つちやこどもクリニック)へリンク
 

       





各科より
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     受付

★ 受付では各種ご予約・お問い合わせをお電話・窓口にて承っております


   
 U 指定の用紙がある各種診断書はお問い合わせ下さい。

  
障害者年金診断書    
  特別障害者手当診断書
  特別児童扶養手当診断書
  障害者手帳用診断書
  就学用医師診断記録
  
精神保健福祉手帳用診断書 など

 これらの診断書は脳波・MRI・知能検査等が必要となる場合が多いので、
 必ず事前にお問い合わせ及びご予約願います。

  その他、受付では患者様お一人お一人のケースに合わせまして、
  応対させて頂いております。 どうぞお気軽にお問い合わせください。




 

   看護科

 当院は小児内科以外にてんかん、チック症、発達障害等小児神経の診療を行っております。
このため小児科の年齢を超えた成人の患者様も継続して治療を受けられます。

患者様の中には騒いだり、暴れてしまうなど待つのが苦手な方も居られますが、そのような場合は看護師にご相談下さい。車の中・別室などでお待ち頂けるよう配慮いたします。

 
感染性の病気(発疹、耳の下、頬の腫れ、下痢、嘔吐等)疑われる患者様は受付の際にお申し出下さい。
感染予防の為、他の患者様とは別にお待ち頂き診察致します。


 
ひどく具合の悪い方は看護師にお声かけ下さい。ベッドに休んでお待ち頂くか、必要に応じ早めに診察するように致します。

 
処置室―血液検査・尿検査・吸入・吸引・点滴などを行います。
   インフルエンザ・溶連菌・アデノウィルス・ロタウィルス等の迅速検査も行っております。
   ※ 乳児健診、三才児及び小中学校の第三次尿精密検査は行っておりません。


 
予防接種:予約制・・・来院又は電話にて予約をお受けします。
         接種日:火曜日、水曜日、土曜日
         (都合により予約をお受けできない日もございます。)


 
ワクチンの種類:ヒブ・小児肺炎球菌・DPT(三種混合)・DPT‐IPV(四種混合)・不活化ポリオ・BCG・MR(麻疹、風疹混合)・日本脳炎・水痘・おたふくかぜ・DT(二種混合)・子宮頚癌・インフルエンザ

   ※ 麻疹単独・風疹単独・B型肝炎はご相談下さい。

 
予防接種をお受けになる際には、予診票・母子手帳をご持参下さい。
   柏市、流山市、市川市の予防接種も当院で受けられます。





  臨床検査科
      

脳波検査について

 脳波検査は、始めに頭部をアルコール綿で拭き、頭に20個位、耳や手にペーストをつけて電極をそれぞれに接着します。これら全てがつけられないと眠ってからの検査になります。又、1歳未満の方は、電極の数、位置が違い、顔にもつけることになりますので、深い眠りに入ってないと困難になります。

 電極をつけている時に良く聞かれることは、電極から電気が出ると思われる為か“痛い?”、“ビリビリする?”と言う事ですが、簡単にいうと脳波検査は、頭部から発生している電位を電極を通して拾い、機器を通して増幅し、波として表わしているだけですので、電極から何か出ることはありません。ですから痛いことはありません。

全てつけ終わったら検査が始まります。
当院で行っている事は、安静覚醒時、開閉眼、過呼吸(
3分間)、閃光刺激、睡眠脳波です。順番は、その時の患者様の状態により違います。

  安静覚醒時
    目を閉じてリラックスしている状態をとります。

  開閉眼  
    開眼から閉眼する時に?波が抑制されるかの確認。また、閉眼直後に異常波が出ることがある為。

  過呼吸(Hyperventilation
    出来るだけ閉眼で一定のリズムで3分間深呼吸を行ってもらう検査です。
    年齢に応じた波が出現するかの確認。また、異常波が出現するてんかんがある為。

  閃光刺激(Photic stimuiation
    眼前15〜30cmの所にストロボスコープをセットし、周波数が違う光を繰り返し光らせる検査です。
    断続的な光を与え続けると異常波が誘発されることがあります。その時には、色眼鏡を使用し    て検査することもあります。

  睡眠脳波

 眠っている時にけいれん発作が起こりやすいこと、また、覚醒時に見られなかった異常波が睡眠中に出やすいことから出来るだけ検査するようにしています。一番良いのは自然に眠れる事ですが、どうしても眠れない場合(または起きている時に電極がつけられない場合も)睡眠導入剤を使用することがあります。これは人により効き方が違い、1回で眠る人もいれば、2回、3回使用しても眠れない人がいます。又、時に興奮して暴れたり、ふらふらになる人もいます。ですから脳波検査をする時は出来るだけ寝不足にして来院されることをお勧めしています。



  放射線科

 放射線Q&A   
Q1:
どうしてエックス線検査をするのですか? 

A1:エックス線検査によって体の状態や病気についての大切な情報を得ることができます。しかし、エックス線に被ばくするため人体にとって危険な検査と思われています。検査には利益と不利益を伴いますが、不利益よりも得られる利益の方がはるかに上回っています。

Q
2:エックス検査の放射線量はどれくらいなの? 

A
2:私たちの生活環境の中には、空気中、大地や住居、宇宙、私たち自身の体や食べ物などから放出される放射線を常に浴び続けています。これらの放射線を「自然放射線」と呼んでいます。これは、避けることが出来ませんが、この自然放射線による健康への影響は報告されていません。それ以外に、人工的に作り出した放射線を「人工放射線」と呼び、医療用の放射線もそのひとつです。胸部エックス線写真1枚の放射線量は、1年間に浴びる世界平均の自然放射線量より低いものです。通常の検査で用いられる放射線量は、微量のため健康に害を起こすことはありません。


Q
3:病院に行くたびにエックス線検査をします。何度も放射線を浴びて体への影響が心配です。大丈夫?

A3:体への影響はまずありません。心配なさらないでください。
通常のエックス線検査レベルでは放射線の量は少ないので、白血病やガンになる確率は極めて低いといえますし、エックス線検査を受けなくても白血病やガンになる可能性がありますので一概に放射線が原因とは言い切れません。また、病気や症状によって何回も同じ検査をしなければならない場合もありますが、放射線は体に蓄積されることはありませんし、その影響が遺伝することも無いと言われております。どうぞ安心して検査を受けてください。


Q4
妊娠しているかもしれないのにエックス線検査を受けたのですが、大丈夫でしょうか?

A4:胸部エックス線検査、胃のバリウム検査を含めて胎児への影響が考えられる放射線量を浴びる事はないので心配いりません。頭部CTや胸部CTに関しても同様です。骨盤のCTの場合、子宮に直接浴びますが胎児に影響はありません。放射線を全く受けない状態でも、形態異常が発生する確率は3パーセントほどあります。検査の放射線量でこの3パーセントが揺らぐことはほぼありません。しかし、我々から場合によっては検査をお断りすることもあります。ご心配なときには、どのようなことでも我々にご相談ください。 

FCR(富士コンピューテッドラジオグラフィ)  
X線画像の検出媒体にフィルムに変わってイメージングプレート(IP)を使用し、IPに蓄積されたX線画像情報をデジタル化します。撮影装置にIP(イメージングプレート)をセットして撮影し、そのIPを画像読み取り装置に挿入することにより、デジタル化された画像として電子カルテで見ることができ、またフィルムに出力します。デジタルデータなので大量に保存することもでき、過去画像の参照もできます。

   MRI
騒音  :画像を得るために強力な磁場の極性を周期的に変化させる時にその磁場の変化により、装置自身が周期的に歪むのがあの騒音の元です。

騒音レベルの代表例
会話不可能  120dB 航空機のエンジン近く、騒音の激しい地下鉄の駅
          110dB 工場サイレンの近く
          100dB 列車が通過する時の高架下、地下鉄車内、電車の駅
           90dB 機械作業場、空調機械室、印刷工場内
会話困難    80dB 交差点、マーケット、国道
          70dB 劇場、百貨店、銀行のロビー、騒がしい事務所
会話可能    60dB レストラン、商店、会話,都市周辺住宅地、事務所内
          50dB 劇場、映画館の観客のざわめき
         40dB 一般の住宅(平均値)、静かな住宅地
          30dB 郊外、ラジオ放送スタジオ
          20dB 木の葉がすれ合う音
         10dB ささやき声  

 MRI検査のとき発生する騒音レベルは、もっともうるさいEPI法撮像で115dB(A)前後にも達します。 この騒音レベルは、飛行機離着陸直下の騒音に匹敵する大音響です。聴覚への影響も予想され、IECでは時間平均で99 dB(A)を越える音圧レベルの場合は、耳栓などの聴覚保護手段が必要であるとの安全基準を設定(1995年)しています。

騒音発生のメカニズム
 超電導MRIシステムの架台は外側に静磁場磁石があり、その内部に筒状の傾斜磁場コイルという構造になっています。 静磁場内にある傾斜磁場コイルに、傾斜磁場電源から電流が流れると、フレミングの左手の法則により、コイル内の線材がローレンツ力を受け、その電流が断続的にON/OFFすることにより、振動となって傾斜磁場コイル全体が大きな音を出します。
傾斜磁場コイルで発生した振動の伝播経路は、空気振動伝播と固体振動伝播の二つがあります。 空気振動伝播は空気を媒体に振動が伝わるもので、傾斜磁場コイルに接している空気が振動し、架台カバーをはじめ近接する様々な部品に振動を伝え、音を発生させます。人間の耳に達している音も、空気振動伝播により鼓膜が振動して、音として認識されます。固体振動伝播は傾斜磁場コイルに直接接している物質が振動を伝えるもので、支持部品を介して静磁場磁石に伝播し、静磁場磁石そのものが大きく振動して二次的な騒音発生の要因になります。

PianissimoTMの原理
 振動はいったん発生源から伝わると、その伝播経路は複雑に絡み合います。 空気振動伝播は、傾斜磁場コイルそのものを密閉容器で覆い、内部の空間を真空ポンプにより低圧力状態に保つ方法で、空気による伝播経路を絶ちます。 固体振動伝播は、静磁場磁石への伝播を防ぐため、傾斜磁場コイルを直接床から支持し、静磁場磁石からは完全に独立させるという方法で、傾斜磁場コイルの伝播経路を絶ちます。 支持系のベース部分に質量を持たせ、振動によるエネルギーを吸収させることで、床に伝わる振動を低減しています。 この振動発生源である傾斜磁場コイルからの二つの伝播経路をシャットアウトしたのが静音化技術PianissimoTMです。独立支持の場合,真空度にほぼ比例するかたちで騒音レベルも低減し, 約24 dBの低減量を示し、トータルで約33 dBの騒音低減効果が得られます(検査時60〜80dB)。これは聴感で約1/10に相当します。

騒音レベルは、いずれの条件でも耳栓が必要とされている99 dB(A)をはるかに下回り、耳栓がない状態でも大きな騒音にさらされることはなく、患者はリラックスした状態で検査を受けることができ,心拍も安定すると思われます。いきなり大きな音がして反射的に動いてしまうことも少なくなれば、動きによる画質の劣化が生ずる可能性も減らすことができます。乳幼児などの撮像時は、通常眠剤を使用し眠らせて撮像を行うため、騒音レベルが低ければその量も最小限にすることもできます。動きによる画質劣化防止と、眠剤投与による副作用(リスク)の低減も期待できます。

  体動補正技術 : JET

患者さんの動きによるアーチファクトを低減するもので、MRIの検査は検査中静止しておくことが必要なため、静止が困難な小児や高齢者、安静下においても動いてしまう腹部や骨盤、肩関節などの検査も、できるだけ動きを抑制する工夫が必要でしたが、これによって安静できずに検査不可能となっていた患者さんや、呼吸によって動く臓器でも動きの影響を抑えた画像を得ることができます。また、体動によって画像が劣化した際に行われていた撮り直しも少なくなります。JETは、k-spaceのデータ収集空間をNon-Cartesian(非直交)に埋めてゆく撮像法です。JETによって、意識なく不随意運動してしまう患者さんでも検査をすることができます。検査中に患者さんが動かれても,JETであれば安心です。






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精神指導 その1
精神指導 その2
頭を打ったときの注意
                                


   生 活 の あ り 方 に つ い て

 
・ できるだけ規則正しい生活をして下さい。運動や学習を十分して下さい。
 ・ 過労、睡眠不足にならないように気を付けて下さい。
 ・ お酒は飲まないで下さい。アルコールは脳に刺激的に働きますので、
   発作が収まっている人でもアルコールを飲 むと発作を起こします。
 ・ 光に過敏と言われた人は、テレビを1時間以上見ないように、
   また見るときはよく調整したテレビを明るい部屋で 2メートル以上離れて見て下さい。

 ・ 一人で風呂やトイレに入るときは、鍵をかけないで下さい。或いはシャワーだけで済ませるなど考えて下さい。
 ・ 自動車の運転については、運転中に発作を起こすと危険ですので、
   発作が起こる可能性がある人は運転をしな いで下さい。
 ・ 水泳は発作のある人にもよい運動ですが、度々発作がある人でプールの中で発作が起こる人については
   十分な監視が必要です。発作が連続して起こる人は付き添いをつける必要があります。
   発作がコントロールされている人は普通に泳いで差し支えありません。
   しかし海や川で泳ぐときは、休憩するときに水辺から十分離れているよう にする必要があります。
 ・ 潜水スポーツや岩登りは少しの気の緩みでも事故につながりますので、やらないほうがよいと思います


   検 査 に つ い て

 1.脳波検査 
脳のいろいろな病気の診断に使いますが、特にてんかんの診断、病型の判断、治療方針の策定、経過の観察、予後の判定などに有効です。とても役立ちますが万能ではありません。何ら異常のない人で脳波検査をして、てんかん波が見られる事が数パーセントありますが、その大部分はてんかんではありません。またてんかん発作のある人でも脳波検査をして正常脳波であることも時にあります。脳波が正常でもてんかん発作があればてんかんです。この場合、病型の判断に役立ちます。脳波は発作の収まっている人で普通6ヶ月に1回、まだ止まらない人はもっと短い間隔で検査をします。脳波検査の前日は頭髪をよく洗い、整髪油をつけないで、また当日はすぐに眠れるように睡眠不足の状態で来て下さい。

 2.血液検査 
滅多に無い事ですが、薬の副作用がないかどうか、肝機能障害、貧血の有無などのチェックが必要ですので検査を受けてください。

 3.CT検査 
脳に腫瘍ができてはいないか、脳血管が破れたり(脳出血)、つまったりしてはいないか、脳奇形がないか、けいれんのために脳が損傷を受けたりしていないかなどを見るための検査です。特に脳の中に石灰化があるときや骨折を検出するのに優れています。3Dで観察します。

 4.MRI検査 磁気共鳴画像診断装置
強力な磁石でできた筒の中に入り、磁気の力を利用して体の構造を診る検査です。
色々な病巣を見れますが、特に脳や脊椎、関節、腎臓、骨盤内に優れた描出能をもちます。
血管や病気の早期発見に有用です。

検査上の注意点は
@検査時間は15〜45分です。
A検査中は工事中のような色々な機械音がします。
B体の中に金属類が装着されている方は検査ができないことがあります。
 (心臓ペースメーカー、人工内耳、ステント置換術、脳動脈クリップなど)
C妊娠3ヶ月以内(妊娠が疑わしい時)
D体中に刺青がある方や化粧品(磁性体が含まれているもの−アイライン、アイシャドウ、ラメなど)は注意です。

 5.薬剤血中濃度測定 
薬がよく効いているか、多すぎたりしていないかを知るために必要に応じて検査をします



  発 作 を 起 こ し た と き の 処 置 に つ い て

発作が起きたときは安全な場所に静かに寝かせて、吐いたものが気管の方に吸引されないようにして下さい。  可能であれば、顔は横に向けてください。ボタンやベルトは弛めて下さい。
2.発作の様子、例えばけいれんしているのは全身か、半身か、あるいは身体の一部分のみか、目はどちらに寄っていたか、意識は保たれていたか、熱はなかったかなど、よく観察しておいて下さい。
3.発作が15分以上も続くとき、あるいは発作の持続時間は短くても何回も繰り返し発作が起こる場合は、すぐ救   急車を呼んでください。
4.発作を起こしたとき、指や棒や布切れを口の中に入れないで下さい。とても危険です。
5.発作が止まって、すぐ気持ちよく目覚めたら普通に起きて動いて差し支えありません。しかし、頭痛や吐き気が  あるときには、寝かせておいたほうがよいでしょう。頭痛が収まってから動いてください。
6. 発作が止まった後、一見普通に動いていても意識が失われていることがあります。姓名や住所など質問して応  答がおかしいようだったら室外に出さないでおいて下さい。
7.発作止めの座薬を持っている人はそれを使ってください。さらに解熱剤の座薬を使うときには、30分後に入れ  て下さい。  

  予防接種について

小児けいれんと予防接種とは本来無関係な事です。予防接種をすることによって病気が悪化したり、発作が増えたりすることが予期されるときには、施行しないのがよいと思います。しかし、予防接種をしないため感染症にかかり高熱を出してひきつけることもあります。双方の事柄をよく考えて、予防接種をすることを決めます
1.本当に必要な予防接種だけするようにして下さい。この   点は医師に相談して下さい。
2.以前に予防接種をしたとき強い反応があった人、風邪をひいた位のことで高熱を出して意識を失ったり、蒼白   になって何回も吐いたことのある人、先天性免疫不全の診断を受けている人などでは慎重な予防接種が必要   です。分からないときは医師に相談して下さい。
3.発作のある人や障害のある人でも積極的に予防接種を受けるようにして下さい。体調の良いときを選んで慎重  に(例えば、医師のほうでは注射量を減らす事などを考えます)接種します。
4.ポリオワクチンは個別接種がまだできません。免疫不全の高度な人を除いて、保健所の定期接種を受けてください。
5.発作が薬で止められていて、健康な人は普通の集団接種を受けてよいと思います。それ以外の人は病院や    診療所で個別に予防接種をしてもらうことになります。



    精 神 指 導 そ の 1

1.てんかん児の性格特徴 :良いほうは直感的思考に優れている、優しい、ずるいことをしない、細かい事によく気がつくなどです。困るほうは落ち着きがない、飽きやすい、運動の巧緻性が低いなどです。
2.てんかん児の得意な学科 : 算数、理科(男児)、国語(女児)
         不得意な学科 : 社会、国語(男児)、理科(女児)
ですが、これは一般的な話で、必ずそうなっているわけではなく、個性が最優先します。
3.てんかん児は治療を開始するとしばしばチックを起こす事があります。子供の顔を見すぎるとそのようになりますので、注意して下さい。あまり神経質になることはありません。つい気になって子供に干渉する事を止めればすぐに直ります。  
4.学校や幼稚園では落ち着きがないので、しつけが悪い と思われる事があります。予め先生に性質を(必ずしもてんかんと言う必要はありません。話しておくとよいでしょ う。10歳くらいになると自然に落ち着くようになります。
5.学校や幼稚園にてんかんであることを話すかどうかは状況によります。一般に発作が治療で止まっていれば、 なにも言わないのが普通です。何も問題がないのに言うと担任に精神的負担をかけるだけになります。
6.学校に病気のことについて言わなければならないのは、学校で発作が起こり何か処置を必要とする場合とか、 学校で薬を飲ませてもらいたいときですが、なるべく教育以外の事では学校を煩わせないほうがよいと思います。 7.飽きやすい性質を直すには子供が何かやりたがっているときに途中で止めないと約束してやらせるのがよいと 思います。塾でも、算盤でも、習字でも、スイミングでもよいと思います。
8.飽きやすい性質を直すもう1つの方法は、例えば学校から帰ってきたら10分でもよいから机に向かう習慣をつ けることです。何を思い出しても決して席を立たないようにします。この場合、できたら何かご褒美をあげることが 必要です。
9.子供が喜ぶものは何でもご褒美になります。お菓子、お金、お母さんの笑顔、できたという達成感、どれでもよ  いのですが直ぐに与える必要があり、後でというのは効きめが薄いものです。
10.不得意なところをこのように矯正するのもときによってはよいのですが、得意なところを伸ばしてやったり、或いはおだてて得意なところを作ってやるのも良い方法と思います。 


  精 神 指 導 そ の 2

.てんかん発作はぼんやりしているときに起こりやすいものです。ですからいつも生き生きと暮らすようにしたいも のです。ジュリアス・シーザーは宮殿の中では暮らさず、野戦テントの中で寝起きしたという事ですが、それは発  作が緊張感のあるときには起こりにくいと知っていたからだということです。
2.充実した生活をするにはいろいろな工夫が要ります。日課を立てること、毎日軽い運動をすること、先のことを考えながら現在することを決め実行すること、気が腐る ときには害のない鬱憤ばらしをすることなどです。
3.てんかんの患者さんは神経が敏感ですから、1つのことが気になって頭から離れなくなることがあります。また  自分の毛を抜くとか爪を噛むなどの症状を見せることがあります。このような症状を強迫症状と言います。医師に 相談すると良いでしょう。不安を除いたり、こだわりを取り去る薬が使われます。
4.どの病気でもそうですが、病気になると不安になります。また発作が起こるのではないかという不安は、しばしば 発作が起こったように思うことがあります。傍から見ていると、また自分自身でも全く発作のように見えます。この ことを仮性発作といいます。理由がないのに発作が増えるようなら仮性発作を考える必要があります。      


   頭を打った時の注意

・ 二階から落下したり、車にはねられたりして頭を強く打ったときには硬膜外血腫、あるいは脳挫傷などが起こる ことがあります。また転んで頭を打った位でも稀に硬膜下血腫ができることがあります。
・ 頭の中に出血などが起き ている場合は、頭を打った直後に症状が出やすく、症状がなくて時間が経つほど、そ ういう心配は小さくなってい ます。しかし、まれに頭蓋内出血(頭の中の出血)の症状は頭を打った直後でなく、  少し遅れて出現することもあり ますので、念のため次の点に注意して下さい。もし、次の項目に当てはまるか、  または疑わしいと思われる時は、 前に受診した病院か或いは当院へご連絡下さい。
1 頭痛が続き、だんだんひどくなるとき
2 意識がなくなったり、放っておくとすぐにも眠ってしまい、起こしてもなかなか起きてこないとき
3 何回も吐いたとき
4 元気がなく、一日中ごろごろしているとき
5 手足の使い方が以前に比べて悪かったり、歩行がよろめいたりするとき
6 話し方がおそく不明瞭になったり、または話しができなくなったとき
7 物が二つに見えると訴えたり、両目の動きが変だと感じたとき
8 けいれんを起こしたとき特に乳幼児では症状が出にくいことが多いので、たとえ元気にしていても2〜3日は目を 離さないことが大切です。また頭を打った後、少なくとも1〜2日は安静にして、入浴したり一人で外出したりしな  いように注意してください。